樹林帯を抜けたらそこは別世界!会津駒ヶ岳の湿地帯に秋を感じる
樹林帯を抜けたらそこは別世界!会津駒ヶ岳の湿地帯に秋を感じる
9月の最終週に、福島県檜枝岐村に位置する会津駒ヶ岳(標高2,133m)に行ってきました。
会津駒ヶ岳は「日本百名山」「うつくしま百名山」そして「一等三角点百名山」と輝かしい肩書きをもっているのですが、公共交通機関でのアクセスがとても難しく「行きにくい山」でもあります。
そういう奥まった山域に気軽に行けるのもツアーの魅力の一つ。
しかも今回のプランは、檜枝岐村のプチ観光付きです。
檜枝岐村は日本有数の豪雪地帯で、冬には積雪量が300cmを超えることもあります。また村の98%が林野が占めており、過酷な自然とともに歩んできた村といえるでしょう。そんな檜枝岐村では、住民のみなさんで280年もの間守り続けてきた伝統があります。
それが檜枝岐歌舞伎。
【今回行ったツアーはこちら↓】
「Yamakara 檜枝岐温泉に泊まる! 日本百名山・会津駒ケ岳 2日間」
https://www.yamakara.com/course/755/detail
鎮守神社の境内に設置された歌舞伎座で、年に2回、村民の皆さんで手作りの歌舞伎を行います。国の重要文化財に指定されたこの歌舞伎座を見学に行ってきました。
まるでイタリアのコロッセウムを彷彿させる円形の観客席に腰をおろし、みなさんしばしの間、静かに歴史を感じていたようでした。
温泉に入り移動の疲れを癒したあとは、思い思いに村を散策します。そしていよいよ、お待ちかねの夕食タイム。
民宿では、宿を経営する旦那さんと奥さんが里山でとれた食材をつかった夕食を振る舞ってくれました。
山でとれたキノコ、お二人が育てた野菜、そして奥さんが作った名物「裁ちそば」。なんと、山椒魚の天ぷらまで!
食事からも、山と共に生きてきた檜枝岐の人々の暮らしを感じることができました。
翌日の出発は朝の4時半。ヘッドライトの灯りだけを頼りにスタートします。
最初に待ち受けていたのは、容赦のない急登!暗闇のなかで朝露で濡れて滑りやすくなった道を歩く緊張からか、誰もが無言のままでした。
朝日が昇って景色がみえるようになってくると、全く眺望のないブナの森にいることに気がつきます。空もなんだからどんよりとした曇り空で、濃い霧が立ち込めています。
3時間も続く登り。湿気も高く、じっとりと汗をかきます。
この先に本当に湿原があるのだろうか……。
このままガスに包まれて全く眺望がなかったら……。
そんな不安がお客様の間にじわじわと広がりつつあったその時!
ぱっと視界が開け、その先に広大な湿原帯が姿を現したのです!
魔法のようにガスが晴れ、湿原帯の先にある駒の小屋や会津駒ヶ岳の山頂までも眺めることができました。
湿原帯の中に伸びる白い木道がキラキラと輝いていて、まるで夢の世界を歩いているような感覚に心が躍ります。お客様のシャッターを押す手がとまらない!それほど美しい景色なのです。
紅葉には少し早かったのですが、枯れた草と緑のコントラストが夏から秋へ移行する”間”の季節を感じさせてくれて、このタイミングでしか見ることができない山の表情を楽しむことができました。
それまで森の中にいたので気が付かなかったのですが、会津駒ヶ岳はとても穏やかで優しい形の山です。厳しい環境の中で生きる檜枝岐村の人々の生活をそっと見守る母のような存在だと感じました。
山頂の三角点で記念写真を撮った後は、駒の小屋のベンチで小休憩。
一際大きい池塘である駒ノ大池の前で撮影した写真には、水面にきれいにみなさんの姿が映っています。
ひたすら登ってきたので、今度は一心に下ります。
目的を果たしたあとなので、下りはみなさんペースが早い!休憩もそこそこに、「早く温泉とビールだ!」とすたすたと進みます。パワフルですね。
トータル9時間の長時間山行でしたが、全員笑顔で下山することができました。
お客様の中には「百名山制覇のために来たけれど、こんなに良い山だとは思わなかったなぁ。檜枝岐村の歴史を知れたのも面白かった」と嬉しい感想をくださった方もいました。
日本の山は不思議ですね。
山は非日常の世界に感じられますが、実は人々の生活と密接な関わりがあります。日本人は古来より山で木を切り、山菜の恵みを受け暮らしてきました。ただ登山口に直行するだけではなく、そのふもとで生きてきた人々の歴史や生活を感じることで、一層のその登山を深く味わいのあるものにできるのかもしれません。
Yamakaraのツアーは、そんな登山+αの要素を盛り込んだプランがたくさんあります。ぜひ一度体験してみてくださいね。
(添乗員/ライター:まつだしなこ)
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