
【遠征ブログ】屋久島ガイドが見たキリマンジャロ。
【遠征ブログ】屋久島ガイドが見たキリマンジャロ。
みなさん、こんにちは!Yamakara屋久島の満園純平(みつぞのじゅんぺい)です。
普段は、年間降水量が日本一とも言われる、緑豊かでとことん潤った屋久島でガイドやツアーの運営をしています。そんな私が今回、日本の裏側にあるアフリカ最高峰・キリマンジャロ(5,895m)へ、13名のお客様と一緒に10日間の遠征に行ってきました。私にとっては2023年に続いて2回目のキリマンジャロになります。
出発前はみなさん、不安とワクワクが入り混じった表情をされていましたが、総勢13名のお客様と共に、本当に濃密で感動的な時間を過ごすことができました。この山は、決して「ガイドにただ連れていってもらう山」ではありません。余裕で登れる人なんてほとんどいなくて、自分の限界まで頑張った人がちゃんと頂上に立てる、そんな絶妙なバランスの山です。だからこそ、ただのツアーの行程報告としてではなく、これから自分自身の限界を突破したい人、もっと高みを目指したい、そしていつかキリマンジャロに挑戦したいと願う方に届いてほしい。そんな想いを込めてここにブログを残したいと思います。
1. 山田さんの素晴らしい切り口と、僕たちが持っている”ソレ”
私たちの会社の創業者である山田は、高いメタ視点と経済合理性によって、旅行会社という中間業者を通さず、現地の働く人々が直接利潤を受けられる素晴らしい仕組みを創り上げました(詳細は Yamakara Aron EXPEDITIONのページ をご覧ください)。現地チームと直接組んで彼らの生活や誇りを守るという、山田のイズムと圧倒的な行動力には、私も心からのリスペクトを持っています。これは本当に誰もが真似できることではありません。
そういった素晴らしい環境が仕組みとしてしっかりと用意されているからこそ、私たち現場の人間が持っている“ソレ”――人と人が現場の最前線で通わせる、泥臭い信頼関係が、本当の意味で生きてくるのだと思っています。
今回、キリマンジャロで中心となってくれたガイドのオルソン、マルケ、レオンは、みんな登山口であるマラングゲートのすぐそばにある集集落で育った幼馴染でした。そして彼らを束ねているボスのアーロンも、また同じ集落で育った人です。彼はもともとポーター(荷物持ち)からスタートして、メインガイドになり、今では会社の経営者にまで上り詰めた、まさに地元の叩き上げのボスです。そんなマラングゲートのすぐそば、つまり本当の地元に生き、山のすべて、スタッフたちの生活のすべてに意識を向けれる彼のような人に現場を任せている。その姿を見たとき、私は自分が生まれ育った屋久島で、地元出身のガイドたちと一緒に汗を流して事業に向き合ってきた日々と、強く重なるところがありました。その土地で育ち、その山を心から愛する人間が現場を引っ張るからこそ生まれる、理屈抜きのプライド。それは、彼らと私に共通する「ガイド道としての核」でした。この血の通った結束があるからこそ、お客様の命を預かるチームがひとつになれるのだと感じています。
2. 屋久島からアフリカへ。登る前から始まるキリマンジャロの洗礼
海外の大きな山に登るとなると、実は飛行機に乗る前から旅は始まっています。成田空港でのチェックインや荷物の預け入れなど、慣れない手続きでお客様の緊張が伝わってきましたが、一人ずつサポートしながら無事に出発!しかし、そこはアフリカの旅。途中の乗り継ぎ地であるエチオピアのアディスアベバで飛行機が半日以上遅れるという大移動の試練がさっそく待ち受けていました。さらに現地のキリマンジャロ空港に夜遅く着くと、今度はアライバルビザの手続きで、現地スタッフから多めの金額を吹っかけられるハプニングも(笑)。ここはプロとして毅然と「正しい金額」を主張して無事に入国できました。ホテルに着いたのは深夜23時。初日からみんなクタクタでしたが、ここからが本番です。
3. 「ここまではレベルあげ」山の上で命を繋ぐための環境づくり
キリマンジャロの登山初日、マラングゲートからの登りでは日本では目にかからないようなカラフルな花や、大きい木に苔がびっしりとついた亜熱帯の深い森を楽しむことができます。歩いているとブルーモンキーや、しっぽが白くてふさふさのコロブスという猿も姿を見せてくれます。ゲート前では物売りの人たちからキリマンジャロハットを交渉して安く買っていた方もいました。旅行中ずっとそれをかぶっていた親子が、いつの間にかハットがトレードマークのようになっていくのが見ていて微笑ましかったです。
メインガイドのオルソンが作るペースは本当に秀逸で、息が一切切れないカメのような歩みです。これが高所登山で生き残るための鉄則になります。
ここで、これからキリマンジャロへ挑戦したいと思っている方にぜひ参考にしてもらいたいのですが、高所登山って、普段みなさんが登っている「普通の登山の常識」が全く通用しない世界んです。身体を上の標高に適応させていくために、私たちが絶対に守らなければならないポイントが3つあります。
① 水をたくさん飲んで、しっかり身体に巡らせること(毎日最低でも2リットル以上は飲みます)
② 息を切らさない呼吸を常に意識すること
③ どんなときも絶対に激しく動かないこと
この3つを、私はツアー中しつこいくらいにみなさんにお伝えし続けました。キリマンジャロに登るために、この規律をどれだけ徹底して身体を馴染ませていけるか、いわばここまでの行程はすべてアタックに向けた「レベルあげ」の時間なんです。
標高3,700mのホロンボハットへ到着すると、富士山より高い場所。ちらほらと頭痛や腹痛など、軽い高山症状を訴える方が出始めました。標高が上がると人間の胃腸は省エネモードに入って消化能力が落ちるので、私はみなさんに「お腹いっぱいとるのではない、体調と相談して調整してくださいね」と勧めました。日本的な「出されたものは全部食べる」という常識を、ここでは一度横に置いてもらいたいためです。
ここでちょっとした問題がありました。朝提供された水に砂が多く混じっていたり、色が少し気になったりしたのです。「山だからしょうがない」という気持ちもなくはないですが、みなさんには先ほど言ったように、高度順応のために毎日の水の大量摂取をお願いしています。少しでも登頂へ向けた不安を取り除き、安心して水を飲んでもらうため、私は企画担当のかりんちゃんが託してくれた浄水プラティパスを使い、自分の部屋の前で大きなバケツで水をまとめて持ってきてもらい、一括で浄水した水をみんなに配ることにしました。おかげで今回は飲み水への不安を最小限に抑える事ができました。ちなみに、私も前回のキリマンジャロでお腹を下したのですが、今回は下痢に襲われることがなかったのは、もしかしたらこの施策のおかげもあるのかも知れません。
胃腸が弱ってきた後半、みんなの救いになったのが日本の味でした。美味しいおかゆに、持参した梅干し、ゆかり、お茶漬けの素、のりたまなどが大好評。現地スタッフやウエイターのゴディが作ってくれる温かい空気感に加え、これらのお湯一つで飲めるフリーズドライやスープが、みんなの心と身体を芯から支えてくれました。下山後にホテルの夕食を食べたとき、山の上と同じようなメニューが出てきて、「やっぱり山で提供されていた料理はご馳走だったんだな」と改めてみんなで認識したほどです。
4. 中ボス、そしてラスボスへ。長い長い闘いと山頂での涙
ホロンボでの高度順応を終える日、私は参加者のみなさんへしっかりとプレッシャーをかけました。
「ここまではレベルあげです。今日はキボまで中ボス、そして仮眠をとってラスボスに挑みます。ここからの1日を超える闘いが、長い長い闘いです」と。
中ボスである標高4,700mのキボハットへ到着し、アタックに向けた仮眠時間中には、小屋のドアが外から勝手にロックされて外に出られなくなるというハプニングもありましたが(笑)、窓の外を通ったポーターに呼びかけて解錠してもらい、なんとか被害は最小限に抑えられました。22:00におかゆを胃袋にかき込み、23:00、ついに最高峰へ向けた本丸アタックがスタートしました。
夜の寒さと薄い酸素の中、遅れが出始めたお客様をサポートするため、ガイドたちと連携して隊をいくつかに細分化し、それぞれにガイドをぴったりと張り付けました。私は自分の水とは別に、ザックに5リットルの予備水を担ぎ込み、休憩のたびにみんなに配り歩きました。ギルマンズポイントに着く頃には、その予備水も完全に空っぽになるほどの激しい闘いでした。
標高5,685mのギルマンズポイント。ここで激しい吐き気に襲われて吐いてしまったお客様など、限界を迎えた方をガイド判断で止めることになりました。みなさん、ここまで築いてきた信頼を信じてジャッジを受け入れてくれました。そして、残った満身創痍のメンバーで、さらにその先のウフルピークを目指して歩き出します。本当に限界ギリギリの戦いで、みんな極限状態でした。
ステラポイントを過ぎ、氷河が見えてきて、やっとかっとの状態で私を含む9名が最高峰ウフルピーク(5,895m)に登頂しました。頂上へ立ったとき、みんながボロボロになりながらもたどり着いた姿と、目の前に広がる素晴らしい景色とが相まって、自然と涙がこみ上げてきました。結果として、13名中12名がギルマンズポイントへ到達、8名が最高峰を踏み、何より「全員が大きな怪我もなく、自分の足で無事に歩いて帰ってこられたこと」。本当に良かったなと心から思っています。
5. 言葉の壁を越えた「心から伝えたい気持ち」と、大自然からのご褒美
ホロンボハットからの長い下山中、私はお客様一人ひとりに声をかけて、さらに感謝の気持ちを上乗せする「エクストラチップ」の相談を個別にさせてもらいました。ちなみに、Yamakaraのキリマンジャロ登山ツアーでは、現地スタッフに渡す基本的なチップが最初からすべてツアー代金に含まれています。他社のツアーでは現地で別途高額なチップの計算や支払いに追われるケースも多いのですが、Yamakaraならツアー代金を支払っていればすべての基本サービスが追加料金なしでしっかり受けられます。これから挑戦したいと思っている方も、その点はどうぞ安心して参加してくださいね。
その安心の土台があった上で、「今回さらに素晴らしいサポートをしてくれたみんなへ」と、それぞれ話をして納得してもらいながら金額を決めていきました。一斉に聞いたわけではないので、払いたくない人は払わないし、たくさん払う人は払う。「お年玉いくら入れる?」みたいなノリになって楽しんでもらえましたし、みんなが自発的に決めた形にできたのは本当に良かったです。
山を無事に下りた後は、共闘した現地スタッフたちとの感動のセレモニーでした。ガイド、コック、ポーター、それにアーロンも集い、みんなでキリマンジャロの唄を歌って踊ってくれました。この唄、事前に動画等で見ているお客様がほとんどいなかったので、サプライズとして喜んでもらえました。
🎥 当日の感動のセレモニーの様子です!ぜひ動画の再生ボタンを押して、現地の熱量を感じてください。
セレモニーの最後、メインガイドのオルソンが熱いスピーチをしてくれました。きっと彼は、山田とアーロンが作ってくれたこのチームの仕組みのこと、それから地元の自分たちがどれほど誇りを持ってお客様を迎えているかという、僕たちのチームの「想い」を語ってくれたんだと思います。そんな彼の言葉に対し、私も返す形で話をしました。
実は私は英語が得意じゃなくて、ここまでずっと単語とジェスチャーだけでかわしてきたのですが、ここにきて「どうしても心から感謝を伝えたい」という気持ちがこみ上げてきて、あえて日本語で丁寧に話をさせてもらいました。おそらく現地スタッフは何を言っているか分からなかったと思いますが、しっかりと聞いてくれました。ツアー参加者の中には、私の言葉で涙が出そうになったと言ってくださる方もいて、現場の信頼関係に言葉の壁なんて関係ないんだなと実感しました。
最終日のサファリでは、ランチタイムにアーロンと仕込んでおいた誕生日のお客様のケーキサプライズが大成功!みんなでハッピーバースデーを歌い、想像以上に立派なケーキで一気にチームの空気が上向きました。するとその帰り道、なんとアルーシャ国立公園では滅多にお目にかかれないレアな野生の象の群れが目の前に現れてくれたのです。まるで、キリマンジャロを最後まで頑張って歩き抜いた私たちへの、アフリカの大自然からの最高のご褒美のようでした。
🐘 サファリの帰り道に出会った、野生の象の群れの映像です。アフリカの大自然からのご褒美をぜひご覧ください!
6. 最後に――差し出した手と、自分で歩き抜いた13人の物語
私のガイドとしてのスタイルや信念は、山を登る主役は、どこまでもお客様自身の強い意志であり、主動的な一歩であってほしいと思っています。
そのために、ガイドはお客様のすぐ隣にいて、自らの力で歩き抜くための「一番近い味方」として、いつでもどんな形でも応えられる距離にあり続けたいと思っています。時にそれが直接の手であり、時に一杯の水であり、時に背中を押す言葉であるかもしれません。お客様が自ら諦めずに前を向いたその瞬間に、私は全力でその意思を支え、どこまでも一緒に歩き続けます。
ただ優しいだけのツアーではなく、ボロボロになりながらも挑戦した先にある、最高の自己達成(景色ではなく、自分自身の内面の変化)を求める方。山田が25年通い詰めて紡いできたYamakaraのフィロソフィーを、Yamakara Aron EXPEDITIONのサポートのもと挑戦したい方、お待ちしています。
最後に、今回ツアーを支えてくれた頼もしい現地のアーロンチーム、日本で完璧な仕込みをしてくれたスタッフ、そして何より全力で一緒に闘ってくださった13名のお客様への感謝!!
本当にありがとうございました!アサンテ!
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